DREAM INTERVIEW

各界リーダーへの夢インタビュー

冨宅 正浩
大阪府柏原市市長
大阪府柏原市市長 冨宅正浩

「日本一災害に強いまちづくり」目指し、柏原市の舵取りに日々奮闘!ケースワーカーの経験が「一人ひとりの声を聞く政治」の原点

あなたのお仕事について具体的に教えてください。

大阪府柏原市の市長です。2017年2月の市長選に出馬し、当選しました。現在2期目を務めています。

この仕事を始めたきっかけを教えてください。

浪人生として大学受験を目前に控えているときに、阪神・淡路大震災が発生しました。そのときに予備校の友人が自身の受験を翌年に先送りしてまで現地にボランティアに行ったことに感銘を受けました。それと同時に何もできなかった自分自身を悔やみました。これをきっかけに「自分も多くの人たちの役に立ちたい」と考えるようになり、公務員を志しました。

そして、八尾市役所在職中には東日本大震災が起こり、被災地では市町村の職員も数多く犠牲となりました。行政機能にも支障が出ていましたし、私はすぐにでも支援のために現地に駆け付けたかったのですが、その希望は叶うことはなく、そのときに「公務員という立場では、できることに限界がある」と感じたのです。「自分が本当にやりたいことをやるには政治家しかない」「政治の力で災害に強いまちづくりをしたい」と考え、37歳で退職し、半年後に行われた市議会議員選挙に立候補しました。そして、市議を務めた後に市長選に出馬しました。

今にして思うと、異動が定期的にある公務員では、本当に自分のしたいことができないと感じており、その頃から政治家になることを視野に入れていたように思います。

あなたの強みは何ですか?

46歳と市町村長としては若く、体力やフットワークの軽さなどの面で優れていると思っています。また、私は市の職員、市議会議員を経て市長になりました。市民・職員・議員・市長それぞれの立場・目線からものを見ることができるのは大きな強みだと思っています。特に、市職員時代にケースワーカーとして働いたことは貴重な財産です。全国の市町村長でケースワーカー経験者はほとんどいないのではないでしょうか。ケースワーカーは一人ひとりの異なる事情をしっかり聴いて、適切な対応をする能力が求められます。ときには様々な専門家との密な連携も必要です。この経験は市民一人ひとりの声にしっかりと寄り添うという私自身の政治姿勢の元となっています。

また私は、強みというものは「自分自身で感じる点」よりも「第三者が評価してくれる点」の方が本物だと思っています。その観点で言えば、私は「いつも愛想がいい」「聞き上手」とよく言われます。そのためか、まちを歩いていても市民の皆さんが気軽に声をかけて来てくれます。市民の皆さんにとって声をかけやすい存在であることは、「自分の本当の声を届けやすい存在」でもあります。これは、市長にとって重要な要素と言えるのではないでしょうか。

あなたの使命とは何ですか?

「市長として市民の皆さんの命と健康を守る」ことです。特に市としては地震などの災害対策に力を入れています。南海トラフ地震は、今後40年の間に90%の確率で起こると予想されています。柏原市は内陸ですので津波被害の心配はありませんが、建物の倒壊・損壊、地滑りやがけ崩れなどの被害が予想されます。私が市長に就任してから小学校で防災教育を行ったり、今年3月11日には一般社団法人日本ドローン協会・大阪支部との間に災害発生時にドローンを活用した支援活動を行う協定を結んだりと新たな取り組みも行っています。災害対策としては物流の確保などの面で民間事業者との協力が不可欠であり、今後もさまざまな企業や団体との連携を強化していきます。しかし、まだ課題も残っており、達成度は70%といったところです。

「日本一災害に強いまち」を打ち出すことで、新たに移り住んでくる人や進出する企業も増えるでしょう。柏原市も人口は減少傾向にあります。しかし、自治体は「何か一つ突出したところ」があれば生き残れます。「防災」もその一つとして市の活性化を図っていきたいと思います。

このほか、子育て支援や教育の充実、観光振興など市として取り組むべき課題は沢山あります。子育て支援・教育充実では、昨年度は小中学校の給食費の無償化を実施しました。これも早急に恒久化させていきたいと考えています。

あなたのこれからの夢を聞かせてください。

ひとつ前の質問の回答とかぶるところがありますが、「災害に強いまちづくり」を全国に広め、日本を「災害が起こっても、誰も命を落とさない国」にしていくことです。柏原市を日本一災害に強いまちにできたら、そのノウハウを全国津々浦々に広げていくことを目指します。

そして、私が生まれ育った自然と歴史が豊かなこの柏原市を、未来を担う子供たちに大きな財産として残したい。超高齢化の時代に備えて、健康で元気に長生きできる「まち」を創り、柏原市を「日本一住みたいまち」として実現したいです。住みやすくて、安心して暮らせる、そして、それが短期間で終わるのではなくて、今後もずっと続いていけるような基盤を作りたいです。柏原市は、そうなれるだけのポテンシャルを持っていると確信しています。そうなるためにも、柏原市をもっと豊かにしたい。その豊かさを生むためには様々な工夫も必要になってきます。柔軟な発想で、より細やかに時には大胆にこれまでの取組も活かしながら、この柏原市を「日本一住みたいまち」にして、市民の皆さんが、柏原のまちを誇りに思い、柏原市に住んで良かったと笑顔になってもらいたいです。

最後に、夢や目標に向かって新たな一歩を踏み出そうとしている方へ、メッセージをお願いします。

私が初めて選挙に出馬したときもそうでしたが、新たな一歩を踏み出すのは大変な勇気がいるものです。しかし、その勇気は必ず自分に何らかの形で返ってきます。一歩を踏み出そうと考えているときは、今、自分が置かれている状況に何らかの不平や不満があることが多いと思います。それらの不平・不満は自ら行動しないと何も解消されません。もちろん、行動した結果として、後悔するような結果となることもあります。しかし「何も行動しないでする後悔」よりは「自分で考え、自分で行動したことによる後悔」の方がずっと自分自身の糧になります。

是非とも自分の仕事や生き方などについて、もっと自信や誇りを持って行動してもらいたいと思います。

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